IT革命によりソ連邦は崩壊しました。
戦後経済は重厚長大、大量生産の製造業が中心でした。
巨大組織の構成員は、ロボットのようにいわれたままをおこなうことを要請されました。
軍隊型、ソ連式の組織が有効でした。
1990年代に入りIT革命が起こりました。
パソコンも安くなり、ユーザー同士が自由に意見を交換するようになり、
企業や行政に大きな力を出すようになりました。
企業はユーザーの声を反映するようになり、
それでさらに業績を向上するようになりました。
今ユーザーがボランティアでつくる無料のオンライン百科事典『ウィキペディア』は、
どの百科事典より利用されています。
言論を統制する社会主義国家では、国民が意見を出すことは望ましいことではありません。
ソ連が崩壊したのは、誰もが利用できる情報技術を
市民に使わせなかったからです。
日本の大企業、政府も、ソ連とよく似たところがあります。
大企業が支配的であり、意志決定は中央集権化しています。
IT革命の恩恵を受けていません。
* * * 摘録(本文の抜粋編集です。)(▼は桑原政則のコメントです。)
古い産業社会は、工業製品を基軸に動いていた。
いまの社会は「情報」を基軸に動いている。
▼いまでは「情報」は、手段ではなく、土台、基軸です。
ITは、社会の土台(汎用技術= GPT、general-purpose technology)である。 単なる「おまけ」ではない。
▼
GPTとは、地球全体に通用する技術のことです。電気、電話、道路のようなものです。
日本の大企業は業務を大金を使って、独自のシステムを構築し、
自社内で処理しており、
業務の他社への委託(アウトソーシング)ができず、ITの活用が進まない。
ITが世界の産業構造を製造業中心の工業社会から情報社会に変えてしまったのにかかわらず、日本はそれに追随できていない。
日本経済の停滞因は、大手企業や行政がITを活用した業務改革をおこなっていないからである。
日本の電子政府は、総合窓口の検索結果が的外れであり、
各省庁別に、
また局別に
情報がつくられているため総合検索ができない。
「おもちゃの電子政府」である。
▼
わたし(桑原政則)は、かつて「子供のページ」を調べたことがあります。
省別、局別もさることながら、「こども」「キッズ」「きっず」「子ども」「子供」「青少年」と用語がてんでんバラバラでした。
アメリカでは、「子供政府」で一括検索ができます。
KIds.gov
電子政府ランキングで、日本は北朝鮮よりランクが低く14位である。
1位は、韓国。
米国政府では確定申告結果がWEBですぐに確認できる。
あるいは統計情報が非常に探しやすい。
技術進歩が急速な時代には、小回りのきく小零細企業の優位性が増大する。
ありの労働人口の1/4は、雇われないで働いている。
組織から個人への移行が始まっている。
▼
小零細企業の時代です。
アメリカでは、ITの経営効果についての回答は、
新製品開発、サービス開発、新規事業開拓、主要事業の競争力強化など。
日本のマネージメントの理解は、コスト削減のみ。
通信費がほぼゼロになったので、賃金の低い国に業務委託している企業が急成長している。
総務省統計局と国税庁のホームページはよい。
新生銀行のシステムはよい。
企業向けのメールソフトよりGメールの方が工夫されている。
ユーザー中心主義になっている。
先進的な製造業は水平分業で業務委託している。
日本の製造業は垂直分業に固執している。
日本の巨大企業による寡占体制が日本の将来をふさいでいる。
マネージメントの変革が必要である。
▼
1940年生まれの野口悠紀雄は『1940年体制―さらば戦時経済 』をあらわし、
日本は、総力戦遂行のための戦時経済体制をいまだにひきずっていると
主張しました。
父親がフィリピンで戦死した野口にとって、
戦時体制は親のかたきです。
IT面でも日本はいまだ戦時経済体制を引きずっています。
鳩山政権のIT戦略は、まだ見えません。
* * *
野口 悠紀雄 遠藤 諭
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企業におけるITについて考える本野口氏お得意の日本IT後進国論のアップデート
著者自身がレガシーになってしまった?!
異質な観点から見た、「IT社会論」
日本のIT業界の現状および今後の方向性について鋭く指摘しています。
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